感想文『霧のむこうのふしぎな町』

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どんぐり日誌
     
霧のむこうのふしぎな町 新装版 霧のむこうのふしぎな町 新装版
柏葉 幸子 竹川 功三郎

講談社 2003-03-15
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久しぶりに小説を読みました。
宮崎駿監督の、ジブリ映画「千と千尋の神隠し」に影響を与えたという作品で知られています。
何を隠そう、私はジブリの大ファンで、どれだけ面白いんだろうと興味を持って手に取った本です。
でも、ただの「影響を与えた」という本ではありませんでした。。。
細かい内容は書きませんが、これから読む予定の方で真っ白な状態で読みたいという方は「続きを読む」を押さないようにして下さい。


主人公のリナが、夏休みに霧の谷と呼ばれる場所に訪れ、様々な体験をするお話です。
『働かざる者 食うべからず』
そう言われ、最初は訳が分からず、不思議な霧の谷にある素敵なお店で働くリナ。
どこの店も最近は戸惑い悩むリナが、自分の持っている力で「仕事」というものをこなしていく。
印象的なのは、最初は嫌いで怒鳴り合いの喧嘩をしていても、ふとしたきっかけで、相手の良い所を見つけ、そして怒っていたのも忘れて褒める・感動する・好きになる、というところ。
なかなか出来ないんじゃないかなぁと思います。
悪口の内容によっては意地を張って相手を認めなかったりしてしまうこともあるんじゃないかなぁ。
それが素直に出来るリナに感心しました。
最初は『千と千尋の神隠し』と重ねながら読んでましたが、全く違うお話だと気付きました。
確かに、知らない町に迷い込んで、初めて働くというのは一緒です。
下宿屋のピコットおばあさんも、湯婆婆を思わせるし、魔法もときおり出てきます。
でもやっぱり違う話なんです。
ただ、「なぁんだ違うじゃん」で終わらせて欲しくない。
原作というか、あくまで感銘を受けたというだけで、この話はそういう視点じゃない視点で読んで欲しいなと思います。
ただ、ジブリマニアから一言。
途中出てくる、ピコットばあさんのセリフで、
「何してるんだい、早くおいで。グズはきらいだよ」
というのがあります。
思わず噴出してしまいました(笑)
天空の城ラピュタに出てくる、ドーラ(空賊のお母さん)がタイガーモス号の中でパズーとシータに言ったセリフに酷似してます。
もしかしたら、この頃から影響を受けたのかなぁ、なんて思いました。
「働く」ということ、「食う」ということ、「住む」ということ、そして「思いやる」ということをリズミカルに描いたこの作品をぜひ読んで欲しいと思いました。

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