スギ花粉と林業の関係

        ちたま 4
どんぐり日誌
     

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今の季節、花粉症に悩まされる方が多いかと思います。
私は幸いにも花粉症ではありませんが、気のせいなのか、鼻がムズムズしたりします。
風邪なのかもしれませんが、心配になることも事実です。
最近、車がすぐ汚れます。
きのう洗車しましたが、洗ってみて驚きました。
汚れを砂埃だと思っていたんですが、よく見ると黄色いんです。
目には見えない花粉だけど、集まってみるとこうも多いものかと思い知らされます。
花粉症と林業の関係を調べてみました。

■参考:林野庁ホームページ

スギやヒノキは、雌雄同株(しゆうどうかぶ)の風媒花です。
つまり、一本の樹にオバナとメバナをつけています。
オバナもメバナも、葉先につき、風に吹かれて花粉を飛ばすことによりオバナからメバナへと受粉させようとしています。
だから、花粉はよく飛ぶんですね。
さて、年々花粉症患者が増えているのはどういうことでしょうか。
ひとつは、大気汚染があげられます。
大気汚染により空気中にある大気汚染物質と花粉が多く化合することにより、アレルゲンとなると言われています。
もうひとつは、林業の衰退と言われています。

日本のスギ・ヒノキ林

日本の森林面積は、2,512万ヘクタールで国土面積の約7割を占めています。このうち人工林面積は1,036万ヘクタールで、うちスギ林は452万ヘクタール(森林面積の約18%)、ヒノキ林は257万ヘクタール(同10%)となっています。
(林野庁より)

なぜ、日本ではスギやヒノキが多く植えられたのかも疑問です。

スギやヒノキは、日本に天然分布する主要な針葉樹であり、生長が早いこと、幹がまっすぐであること、加工しやすいことなどから、古くから植えられ、また多方面に利用されてきました。
しかし、戦時中には軍需用材として、戦後には戦災復興のために大面積伐採が行われたため、跡地における災害の発生の防止やその後の経済発展に伴う木材需要の増加に応える木材生産の増大など、時代の社会・経済的要請に応えるため、戦後、人工造林を推進してきました。
その際、造林技術が定着し、利用価値が高いスギ・ヒノキが造林樹種として森林所有者をはじめ関係者によって選択され、その資源が増大してきました。
(林野庁より)

ということです。
また、スギ・ヒノキは日本の森林面積の約3割を占め、今や日本の温暖化防止にも一役買っています。
樹齢の若いものでは、二酸化炭素吸入量が、他の樹種(マツやブナ、クヌギなど)と比べ、3倍ほども多いのです。
一番の効率がいいのは、間伐や枝打ちをすることですが、林業を営む人の減少と高齢化で減らすのは相当困難なことが予想されます。

林野庁では、花粉の発生量の抑制につながる森林整備の方法を開発するため、平成14年度から都市近郊のスギ等の人工林において抜き伐り、枝落としなどを実施しています。
この事業では、林の中のスギ等の個体によって雄花の着花量のバラツキがあることに着目し、多いものを優先的に選木しながら、間伐する手法等の実用化を探っています。
(林野庁)

ここからは、私の主観が入りますが、林業が衰退した原因は外国産の熱帯雨林材を多く輸入してることにあると思います。
外国産のほうが安価なことと、熱帯雨林は育つのが日本の数倍も早いためだと考えます。
日本のスギやヒノキがいわゆる「高級」に感じるのは、温暖な気候で育てることで、年輪の幅がほどよく狭い、つまり密度の高い木材だからです。
強度から見ると、日本の木材は丈夫で香りもよく湿気の多い日本の気候にも合ってます。
日本人が日本の木材を消費することで、林業が潤い、森が栄えるものだと、私は思います。
消費者である私たちができることは、できるだけ国産の木材を選び購入することだと思います。
それが林業の繁栄、如いては花粉の減少に繋がるのです。
極論かもしれませんが、私の主観です。

コメント
2005年3月22日 13:42 まる

二点ほど、
>二酸化炭素吸収量が、他の樹種(マツやブナ、クヌギなど)に比べ3倍ほども多い
林野庁のグラフはマツがカラマツだよね?これがアカマツだったら二酸化炭素吸収量はスギよりも多く、温暖化防止のためのにはアカマツが一番!と見えるグラフになります。グラフは、作り手の意図が反映(この場合はスギの擁護)されたものなので、見えているものそれだけを真っ正直に信じてはいけません。
>熱帯林は育つのが日本の数倍も早いためだと考えます。
これは、間違い。(^^)
熱帯からの輸入材が安価なのは、略奪的林業を行っているからです。”未開のジャングル”に道を通し、大型林業機械を使って伐採・搬出します。保育の手間がかかっていないこと、地形が平坦で伐倒・搬出の機械化が容易だったことが安価の要因です。伐採された熱帯林の再生は技術的問題が多く、多くは上手く行っていません。

2005年3月22日 18:01 ちたま

まるさん、いらっしゃい♪
実は、林業に詳しいまるさんのコメントを密かに期待してアップしたエントリーだったりします(爆)
>見えているものそれだけを真っ正直に信じてはいけません。
反省。。。
たしかにカラマツですね。マツはマツでも、アカマツは吸収量がそんなに多いんですね。
再度調べなおします。
>熱帯からの輸入材が安価なのは、・・・
これは、安価な理由として育つのが早いと書いたのではなく、多く輸入をしている理由として書いたつもりなんですが(^-^ゞ
それは当たってますか?
う~ん。色々とありがとうございました♪
またアドバイスお願いしますm(_ _)m

2005年3月23日 2:35 まる

>熱帯材が安価
うん、これは間違いない。安いから大量に輸入され、国産材を圧迫する。
では、なぜ安いのか? 
国産材は、植えて→育て→伐る、を繰り返す。これを持続的林業と言う。植えてから40年?80年の長い保育期間に多くの手間がかかり、地形も急峻なため大規模な機械化も難しいので高価となる。
対して熱帯材の多くは、人の植えた物ではない。広大な天然の森に道を切り開き、平坦な地形を生かし大型林業機械による効率的伐採を行う。伐採後は再造林することはほとんどなく、農場・牧場等になる。これを略奪的林業と言う。
つまり、自分で植えて育てて収穫するより、そこらに勝手に生えてるのを伐ってくる方が早いし楽ってこと。
さてそれでは、熱帯林は生長が本当に早いのか?
確かに、カタログスペックとしては熱帯林の単位面積あたりの生産量は大変高い。しかし林業的には、熱帯林の再造林は技術的問題が多く、一度伐ってしまうと再び森に戻すのは容易なことではない。生産量は高くとも再生は困難であり、持続的林業を行っていない。普通はもとから生えているものを伐り尽くしてしまえばそれっきり。おしまい。。成長の早さは、日本に多く輸入されてくる理由としては、結びつかないでしょ?
>日本人が日本の木材を消費することで、林業が潤い、森が栄えるのだと、私は思います。
この部分は◎(二重まる)! すばらしい!
全体としては良い出来だと思うよ。課題は「資料を読み解く技術」だね!

2005年3月23日 9:57 ちたま

なるほど~。勉強になります。
そういえば、高校の授業で熱帯地方は土地が痩せている上に、スコールが頻繁に降るから、種や苗が流されてなかなか地面に定着しないから、育てるのが容易なことではないって言ってた。思い出した!
>課題は「資料を読み解く技術」だね!
えぇ。おっしゃるとおり。
そうやって深いところまでつきつめていくと、ワクワクしてきます♪焦っちゃダメですね。。。
がんばろ~

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